あらすじ「やぶ浪」で働くおしげの仲介で、同じ長屋に住むおちかが見世(みせ)を手伝い始めた。嫁入り支度(じたく)の足しにしたいという。そんなおちかのために出稼ぎに行っていた兄が帰ってきた。ところが、なぜか別人のように元気をなくし閉じこもったきりらしい。やぶ浪のあるじ浪介(なみすけ)は、見世に呼んで事情を聞くが……(表題作)。深川の小体(こてい)な蕎麦(そば)屋で繰り広げられる、心に沁みる人情譚。