中学柔道選手権全国大会78kg級決勝。すでに65kg級の優勝を決めた花マルの見守るなか、木元は氷室(国学舎)の前に屈し、惜しくも準優勝に終わる。あの木元が負けた。その惨めな姿は、花マルはじめ誰も想像していないものだった。しかし、木元は戻るなりおどけた様子で「同時優勝の夢がパーじゃ」と花マルに誤る。その後も、落ち込むそぶりも見せずに決勝にふさわしい好試合を終えた後の大観衆に応える。握手をしようと群がってくる人々に応対する木元だったが、人々と握手をする左手とは裏腹に、右手は傍らにいる花マルの帯を握りしめ、震えていた… 二人で会場を離れた花マルと木元。そして他には誰もいない所についた途端、木元は激しい悔し涙にくれるのだった…(第1話)▼ついに全国大会も終わり、65kg級で優勝を決めた花マルは、2位に甘んじた木元のこともあって、うれしいのか、そうじゃないのか、よくわからない気分を味わっていた。そんな大会終了直後の真夏の昼下がりのこと、麻布台高校柔道部を指導している車が、花マルの家を訪ねてくる。「オリンピックの金メダルを目指せる逸材。」とのおおきな言葉、そして東京の高校からのスカウトに、実力を認められたという思いの反面、故郷を離れることに動揺を感じてもいた。緊張の話し合いの後、酒が入った車は人が変わってしまい、花マルの家族の前で大失態を演じてしまう…(第2話)