あらすじ京都の夏の伝統行事、大文字五山の送り火──。五つの山に点火されたその時刻、離れた場所で、五人の男女が殺された! 二十万人もの目撃証言から浮かんだ土井洸洋という男。彼は、すべて自分で殺(や)ったと自供した。だが、音なし警部補こと音川音次郎の苦悩は深かった。五カ所の同時殺人は実行不可能であり、それゆえ土井を起訴できないのだ!(表題作)和久峻三ミステリーの真骨頂。