上演ネタ・七百席以上!桂文我が満を持して世に放つ上方落語の集大成、第三巻刊行第三巻では、『饅頭怖い』『歯抜き茶屋』など、上方落語の逸品、珍品を織り交ぜた珠玉の高座、十五席を再現している 〈解説付き〉。〝芸能博士〟と呼ばれた桂米朝師(人間国宝)の系譜を継がんとする著者は、大師匠と同様に落語に関係する史料・文献を収集しまくる稀代のコレクターでもあります。現代では忘れられた噺を古文献から掘りおこし復元することにも取り組んでおり、噺家生活四十年で上演した噺は七百以上を数えます。 この全集では、そうした噺のなかから厳選したネタをテキストに起こし、本人解説付きで紹介しています。著者が収集した貴重な演芸資料も、できるかぎり写真で紹介しています。また、大師匠方との思い出話などを綴るコラムも読み応えたっぷりです。第三巻に収録されているのは、二人癖絵手紙胴乱の幸助ベンチャラ屋豊竹屋景清花筏饅頭怖い癪の合薬てないど五人裁き高野駕籠歯抜き茶屋大仏餅裏の裏の十五席。知っているネタもあれば、はじめて目にするネタもあるでしょう。よく知っている『饅頭怖い』が上方落語だと、こんなに長い噺だったのかと驚くかもしれま せん。著者は言います。「私の場合、書いた落語が城の石垣であり、ライブの高座が、その日の天守閣の形になる」と。「天守閣」たるライブの魅力にはかないませんが、書いた落語=「石垣」には、読むからこそわかる奥深い魅力があります。「読んで楽しむ」落語の世界を、ぜひご堪能ください。