信平は初陣の薬売り。亡父への想いを胸に江戸の街を行く。信平の父は時化にのまれ、江戸を見ることなく逝った。信平を見守るのは父の親友。懸命に薬売りに励むが、折しも捕物騒ぎが勃発!日の本じゅう、津々浦々を旅する薬売りが久々にのどか屋に現れた。時を同じくして、黒四組が探索しているのは「上方訛り」の京から下ってきた悪党だという。なりは越中の薬売りだが、中身は上方からきた悪党どもを探し出すことはできるのか。「おいらたちの真似をするとは、許せねえっちゃ」と気概を示す越中の薬売りたちは果たして手柄を立てることができるか――。*本書登場の小料理「焼き茄子」焼きたての茄子は水につけないで皮をむく。熱いので、指のほうを水につけて、手際よく。むけたら、へたを切り落とし、箸で四つに割く。それを器に盛り、だしが二、濃口醤油が一の割り醤油をかける。おろし生姜を添え、糸がきの鰹節をふわりと載せれば出来上がり。