大火に逃げ惑う人々。でも人の情がある限り江戸の町は負けない!のどか屋が焼け落ちても、身ひとつ、命さえ助かれば、いくらでもやり直せる!……と、赤子の泣き声が。捨て子? 放ってはおけない。武士を捨て江戸に出て料理人となった時吉は、女房おちよと岩本町で小料理のどか屋を営んでいる。昼飯の客で賑わう見世に、半鐘の音が飛び込んできた。火は近い。早く逃げないと大変なことになる。背に小さな倅を背負い、女房と風下に向かって逃げ出した。……と、火の粉が舞う道の端から赤子の泣き声が聞こえる。捨て子か、双子の赤子だ。放ってはおけない。《今回登場するお料理》昼御膳(若芽雑炊・焼き魚・切干大根煮付け) 山家(さんか)寿司寒鰤の照り焼きたたき牛蒡の胡麻酢和え炒め飯ほうとう鍋おでん鍋幸い飯(大根菜飯)風呂吹き大根