二人の商人が強請られ、栄次郎の命も狙われる。誰が、何の目的で……?五年前の「事件」の何をどう探り当て強請ってきたのか。尋常の『敵』ではあるまい! 手首を傷めた矢内栄次郎は得意の抜刀術を使えず……。田宮流抜刀術の達人で三味線の名手矢内栄次郎は手首を傷め、撥も刀も握れずにいた。折しも兄栄之進に再婚話が舞い込んだ。なんと三千石の大身旗本の娘だという。矢内家は二百石の御家人、もしや栄次郎の出生の秘密を知ってのことか。一方、五年前の「事件」を探り当てた者から、二人の商人に強請りの文が届き、尾行者も……。相談を持ちかけられた栄次郎は、はたして……。