50周年を迎える“ルーフトップ・コンサート”だけに焦点をあてた初の書籍!1969年1月30日に行われたゲリラライブかつ、ビートルズのラストライブとして知られる“ルーフトップ・コンサート”の舞台裏。『ゲット・バック』セッションのクライマックスに行われた歴史的イベントまでのメンバーたちの様子と、渦中にいた人々の証言によるドキュメンタリー。ビートルズの再生とバンド内の人間関係を描きながら、なぜルーフトップ・コンサートが行われたのか、なぜあのような形になったのかを解き明かす。痛々しい沈黙。その時突然、バンドリーダーとしてのジョン・レノンが蘇った。「クソったれ、やってやろうじゃねぇか!」と叫んだジョンに度肝を抜かれ、ジョージもリンゴも口をつぐんだ。数分のうちに4人は一列になって螺旋階段を上がり、観衆の前で演奏する最後のコンサートに臨んだ。 ――本文より――1969年1月の寒さ厳しいある日の昼どき、ロンドン、サヴィル・ロウ界隈にエレクトリック・ギターの音が鳴り響いた。通りや建物に人々が集まり、何が起こったか確かめようと、屋根やポストによじのぼる者もいた。彼らは昼食を忘れて音楽に聴き入った。最後のライブから2年半余り。ビートルズは新曲「ゲット・バック」、「ドント・レット・ミー・ダウン」など数曲を屋上から響き渡らせ、仕立て職人たちの上品な耳をざわつかせた。