リーマンショック、東日本大震災、さらに直近のコロナショックなど、予期せぬ出来事に多くの企業が翻弄され、場合によっては存続すら危ぶまれる事態に陥ることがあります。しかし企業経営は、どのような事態が発生しようとも、継続させることが社会的責務でもあります。つまり、これからの中小企業の成長モデルは、スリムで筋肉質な「人を増やさずして規模を拡大していく」、少数精鋭型で経営を維持することが重要になるのです。そのための課題は、今いる人材をどうやって最高の戦力に変えていくか――そこで、おすすめしたいのが、本書のテーマである「社内勉強会」の実践です。公式な人材育成の方法である教育研修と違って、時間や予算はそれほどかからず、また、会社からの押しつけ研修ではないので社員の積極性を引き出しながら、能力・スキルの向上を図ることができます。多くの社内勉強会は、会社側の関与を必要とせずに自走してくれるので、運営の手間暇もかかりません本書は、社長が社内勉強会を立ち上げ、軌道に乗せるまでの方法論をまとめました。もちろん、社長が全部をやりきる必要はありません。勉強会立ち上げのフローは、次の8つですが、社長にコミットしてもらいたいのはフェーズ2まで。あとは、社員が勝手に勉強会を育てていきます。フェーズ1:社長(社内勉強会立案者)の想い~Whyを設定する~フェーズ2:勉強会チームを編成するフェーズ3:学習テーマを決めるための情報を収集するフェーズ4:勉強会の実施要領を決める(企画)フェーズ5:社内勉強会の準備をするフェーズ6:社内勉強会を周知し、集客するフェーズ7:社内勉強会を実施するフェーズ8:社内勉強会の評価をするそして再び、フェーズ3に戻り、同じ手順で2回め以降の勉強会を実施していきます。社内勉強会が回り出せば、社員の能力、生産性、モチベーション、定着率は確実にアップします。厳しい時代を勝ち抜くために、時間も予算も手間もかからない社内勉強会を、ぜひ定着させて、勝手に人が育っていく組織文化をつくりあげてください。社長の“人”に関する悩みの大半は解決するにちがいありません。