東日本大震災からわずか一週間後に営業を再開させた風俗店があった。被災地の風俗嬢を五年にわたり取材した渾身のノンフィクション。【本文より】チャコさん(仮名)が相手にした客のほとんどが、地震と津波の被害に遭っていたという。「家を流されたり、仕事を失ったり。それでこれから関東に出稼ぎに行くという人もいました。あと、家族を亡くしたという人もいましたね」「えっ、そんな状況で風俗に?」思わず声に出していた。だが彼女は表情を変えずに続ける。「そんな場合じゃないことは、本人もわかっていたと思いますよ。ただ、その人は『どうしていいかわからない。人肌に触れないと正気でいられない』って話してました」