幸せな人生を送るための投資に対するアプローチスポーツ選手は、本番の試合で結果を残すため、何度も何度も繰り返し練習をして、自分の個性に合わせたプレースタイルを築いている。同じように、投資家が長期的に勝ち残るためには、まず自分自身で実践的に勉強を積み重ねて「自分だけの投資スタイル」を築いていく必要がある。他人に「答え」を求めてばかりでは、けっして長続きしない。自分だけの投資スタイルを、自力で探っていかなければならないのだ。そのための「筋道」を提案しようというのが、本書のテーマである。本書では、まず「投資に対する思考と姿勢」について論じる。勝ち残っている投資家にみられる共通点は「やり方(手法)」ではない。「考え方」だ。そして“残念な”投資家にみられる共通点も「やり方」ではない。「考え方」である。相場というものは、少なくとも、この両者の思考法の違いを知っていなければ、最終的に損をするようにできている。成功者にとっては、あまりにも当たり前すぎることを、多くの初心者は気づくことさえなく、そのまま失敗に終わっているのだ。この基本的思考と姿勢について踏まえながら、本書では、著者がこれまでさまざまな本を読み、経験を重ね、自分なりに解釈してきたことを具体的に紹介する。筆者は、本格的な投資を始めるにあたって、5年の「修行期間」を提案している。それだけ腰をすえて勉強しなければ、長期間の資産運用を維持するだけの“屋台骨”ができないというわけだ。修行期間中は、けっして一攫千金を狙うのではなく、投資額は保守的に、しかし実践は積極的に繰り返し、問題意識を持ちながら「自分なりの投資の中核」を養成することに集中する。そして、この中核を屋台骨として育てることで、それを補完する投資方針も生まれ、それが「ポートフォリオ」へと進化していくのである。ポートフォリオとは、さまざまな金融商品の組み合わせで、安定的に資産運用をしようという方法だ。最終章では、自分なりの人生観や人生計画(ライフプラン)から、大局的にどのように「自分のポートフォリオ」を成長させていくかについて言及する。本書を「知ってさえいれば免れることができた」という次元での失敗を回避し、自分だけの投資スタイルを築き上げるための指針として、そしてさらに「高いレベルで投資に挑戦する」土台として役立ててほしい。