有原和樹の妻が自宅で殺害された。妻の流産以降、夫婦仲は冷え切っており、まして妻の不倫を疑っていた有原をクロとする状況証拠は揃っていた。逮捕された有原の担当弁護士となった鶴見京介は、有原が殺害時刻に居酒屋で、アイヌが使う「ムックリ」という口琴を持った男と会ったという言葉を信じる。だが、探し出した男は、有原を覚えていないと答えた後、アリバイを証明することなく姿を晦ます……。手掛かりを求め北海道へ飛んだ鶴見は、暗い秘密を抱える人々の心を解きほぐし、嘘を暴きながら驚愕の真相に迫っていく! 長編ミステリー。