兜坂国の斎庭は、神を招き国を守る使命を負う場。その主たる大君が大切に育てていた柚子の木に、蝶の幼蟲が湧いた。木を荒らされて心を痛める大君を見かねて、斎庭の花将たちは蝶の神を招くことに。ところがその祭祀は近年行われておらず、綾芽は過去の記録から祭祀を復元する任を命じられる。一方二藍は、地方で起きた異民族との小競り合いを打開するための祭祀を行うことになった。だがそれは、斎庭に暮らす者の命を懸けた難しい祭祀だった。はたして二人のとった策とは?(蝶の拾遺)――戦いの合間の平和なひとときをつづった、神と人とが織りなす古代和風ファンタジーの番外編の計6編。その毎日は、いつもせわしなく、愛おしい。