12世紀初頭に誕生した「テンプル騎士団」は、もともとエルサレム巡礼に向かう人々の保護のために設立された。しかしその後、軍事力、政治力、経済力すべてを持ち合わせた超国家組織に変貌を遂げる。彼らは、後世に影響を与えた数々の画期的な制度(管区、支部といった巨大ネットワークを張り巡らせる組織作り、指揮命令系統の明確な自前の常備軍、銀行業の始まりともいわれる財務管理システムなど)を形成した。西洋歴史小説の第一人者が、その成立過程から悲劇的結末までの200年にわたる興亡を鮮やかに描き出す。 【目次】はじめに/第一部 テンプル騎士団事件――前編/第二部 テンプル騎士団とは何か/第三部 テンプル騎士団事件――後編/おわりに/参考文献