大好きなつぐも叔父といとこの賢三君がぼくたちと一緒に暮らすことになった。父が亡くなり姉も嫁いで寂しくなった食卓は再び賑やかになり、小学校最後の夏休みは冒険の毎日だった。そして長兄の婚約、次兄の失踪などがつづく中、ぼくは中学生に。その頃にはうっすらと「我が家の事情」もわかるようになってきて…。「『岳物語』の主人公が、六年生になったあたりで書くのをやめたのがずっと気になっていて、自分はその年齢の頃に、いったい何をして何を考えていたのだろうか、ということがえらく気になった」(あとがきより)――こどもから少年に変わってゆく時期を綴ったシーナ的私小説、最終章。