平安の都の人々から、最強の妖魔として恐れられている九尾の妖狐・藤香。その並外れた妖力は同族からも畏怖され、巨大な妖魔でさえ彼女にはひれ伏す。だがある日、人と妖魔の魂から作り出された莫大な妖気の塊──殺生石の力を使う邪悪な陰陽師・法限を相手に、藤香は思わぬ劣勢を強いられる。法限の放った邪気の刃が目前に迫り、藤香が死を覚悟したそのとき、身を挺して彼女を救ったのは、幾度となく刃を交えた若き退魔師・章伯であった。突然の乱入に驚いた一瞬の隙を突いて殺生石を奪い、法限を討ち破った藤香は、命を賭して自分を助けてくれた章伯に、生まれて初めての情愛を抱く。そして、消えゆく章伯の命を守るため、二人が結ばれるために殺生石の力を使う。時は流れて現代。そこには、妖狐のころの力や記憶を宿したまま人へ転生した藤香と、同じくかつての記憶をもっている章伯の姿があった。最強の女退魔師とその御側付という少々複雑な関係ではあるものの、千年の時を超えて二人は結ばれたのである。が、しかし。突如、何者かによって章伯が攫われてしまう。誘拐犯の誘いに応じ、藤香が駆けつけた洞窟で、待ち構えていたのは、かつて葬ったはずの法限だった。獣耳と九つの尾を逆立てた怒れる最強退魔師は、恋人を救うべく攻撃を仕掛けるが、章伯を餌にした卑劣な罠に嵌まり、陰陽師の操る触手妖魔に捕われてしまう。純粋な妖力は低いものの、女を犯すことだけに特化した妖魔は、粘液の滴る触手で胸や秘裂、口内を激しく責め立てるため、藤香であっても容易に脱出できない。さらに、法限によって濃縮媚薬を陰核へ射たれると、これまで味わったことのない、快楽が藤香を襲う。常人ならばすぐに発狂してしまうほどの性悦に耐えていた藤香が、限界を迎え沈みそうになったとき、その窮地を救ったのは、またしても章伯であった。持てる力を振り絞った章伯の法術により、藤香は一人洞窟から離れた山中へ飛ばされた。しかし、人へ転生し、章伯への想いを深めた彼女には、このまま逃げることなどできない。媚薬で昂る身体のまま、法限に立ち向かうことを決心した藤香。だが、その愛情は、終わりの見えない肉悦地獄により、徐々に淫らな欲望へと変容を遂げてゆく……。※この書籍は電子配信用に再編集しております。