残酷な運命に翻弄されてきた美貌の少年、西條ざくろ。濡れたような黒髪、愁いをたたえた瞳、艶めかしい肌……。心を閉ざし、体を売って生きてきた彼は生まれて初めて己の運命と出会った。初めて好きになった男の名前は、九流猛。日本の金融を支配する名家の生まれにして、ざくろの通う全寮制男子校の副会長をつとめる文武両道のイケメン。九流家の家族にも紹介され、一生を誓ったざくろは、生まれてはじめて、心の底から愛される幸せをかみしめていた。しかし、ざくろの過去を知る男の出現をきっかけに、二人の気持ちが乱れ惑う。心のそこから愛しているのに、気持ちは届かず、交わす言葉もないざくろと猛。好きだという気持ちを抑えられないまま、ざくろは別れの言葉を口にする。「好きです、先輩。俺には後にも先にも先輩だけ……」すれ違う二人の気持ちは果たして……!?