プラス思考になりたいですか? 仕事や生活がうまくいかないとき、「その原因は自分がマイナス思考だから」と考える人が、増えています。そうした人たちは、プラス思考の自己啓発本を読みます。そして、友人にはげまされ、ネットのポジティブポエムに感化され、熱いメッセージの書かれた日めくりカレンダーに元気をもらい、プラス思考に生まれ変わり(生まれ変わったと思い)、新たなスタートを切ります。しかし、時間が経つとまた、マイナス思考に戻ってしまいます。それでは、なぜプラス思考が身につかないのでしょうか。結論から言えば、そもそも、その人にはプラス思考が合わないからです。しかし、プラス思考になれないからといって、すべてをあきらめる必要はありません。なぜプラス思考が自分に合わないのか、マイナス思考で考え方を改善させる方法はないのか、一度じっくり考えることが必要です。私はテニスプレイヤーとして、テニス研究者として、そしてテニスの指導者として40年を過ごしてきました。そうした経験の中で、スポーツを深く考察するうちに思い描くようになったのは、「スポーツを指導するときの方法論は、一般の人にも十分通用する」ということでした。そしてひとつの思考法に行き着いたのです。それが本書で紹介する、「積極的マイナス思考」です。この新しい思考法は、スポーツだけでなく、上司や部下の関係といったビジネス分野での悩みや、受験や子育てや病気といった日常生活での悩みなど、プレッシャーやストレスがかかる、どのような場面にも有効な思考法です。もともと人間には、プラスとマイナス、表と裏、善意と悪意、その両方が存在しています。その片方に目をつぶろうとするのではなく、この両方をうまく扱える人間になることを目指しましょう。そして、「心」だけではなく「身」もやわらかくしていくことが大切です。これが積極的マイナス思考という考え方の基本であり、誰もが自然に達成できることなのです。(本書「はじめに」より抜粋)