「出すのは、上半身だけの約束だっ!」和久の不埒な手は篤味のヘソをさすり降り、肉付きのうすい腿に触れてきた。その抑え付ける力は尋常じゃない。キスはあんなに優しくデリケートだったというのに……。和菓子店の若旦那:篤味の元へ、人気商品『甘肌餅』を買い求める和久が度々来店した。画家をしているという和久。同世代ということもあり次第に親密に。「とうとう、来てくださったんですね。この部屋に……」和久の仕事場を見せてもらうことになった篤味は、壁に掲げられていた一枚のスケッチ画を見て絶句する。それは……篤味自身のセミヌードだった。過去に一度だけ、50人の学生の前でセミヌードモデルをしたことがあった。その時、美術部員だった和久がその輪の中にいたとは……。「一回だけでいいんです。また、モデルになってください!」和久の真剣さに気押され、モデルになるため下着一枚になる篤味。「白くてきれいだ。ずっと見ていたい……」体毛が薄く、女みたいに肌がきめ細かい。そんな自分の体にコンプレックスを持っていた篤味だが、次第に不快を感じなくなっていた。「全部見たいな……」頬を桜色に染める和久の目には、淫欲の明りが灯っていた。