俺のバンドが解散しても、橋本さんの腰痛が酷くても、東原さんの化粧が濃くても、糸島が可愛くて我慢のぎりぎりでも、とりあえず世界大恐慌でも起らない限り、俺たちは職場で、また月曜日に会えるのだ。俺の職場である、糸島塗装興業株式会社で。 香鹿優人は、アルバイトで生計を立てながらバンドでのメジャーデビューを夢見る優しく気遣い屋のいたって普通の青年だ。ある日、彼が働く糸島塗装工業に副社長の息子、糸島薫が現れる。イケメンと形容できる容姿にかかわらず、暗く無愛想で仕事もできず、パートのおばさんたちに煙たがられる糸島が香鹿は気になって仕方がない。頑なに心を閉ざしていた糸島だったが、香鹿の甲斐甲斐しい努力の末、少しずつ心を開き始める。そんな折、香鹿はバンドのメンバーの一人が別のバンドでメジャーデビューするという話にダメージを受け、部屋に遊びに来た糸島を衝動的に押し倒してしまい……。中編3編のオムニバスストーリー。 巻末には書き下ろしスピンオフを収録。