――わたしはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。カリブ海生まれのジーン・リースは、ヨーロッパでは居場所を見出せない、疎外された人であった。しかも女性である。自身の波乱に富んだ人生を下敷きにした、モデル、老女、放浪者などの主人公たちは、困窮、飲酒、刑務所暮らし、戦争と数々の困難を生きる。だが彼女らはけっして下を向かない。慣習と怠惰と固定観念をあざ笑うように、したたかに生きる。《いま新たな光を浴びる、反逆者リースの本邦初、珠玉の作品集》--------------------------------------【目次】■あの人たちが本を焼いた日……The Day They Burned the Books■あいつらにはジャズって呼ばせておけ……Let Them Call It Jazz■心霊信奉者……A Spiritualist■マヌカン……Mannequin■フランスの刑務所にて……From a French Prison■母であることを学ぶ……Learning to Be a Mother■シディ……The Sidi■飢え……Hunger■金色荘にて……At the Villa d'Or■ロータス……The Lotus■ではまた九月に、ペトロネラ……Till September Petronella■よそ者を探る……I Spy a Stranger■堅固な家……A Soild House■機械の外側で……Outside the Machine■「ジーン・リース」へのピクニック……西崎憲--------------------------------------