日本史上最も著名な『陰陽師 安倍晴明』安倍晴明と聞くと、どんなイメージを抱くだろうか?映画のイメージからか「超能力を駆使するイケメン術師」というイメージがあるのではないでしょうか・・・「安倍晴明」は歴史的に活躍当時の史料に乏しい謎の人物。実はその伝承の多くは後世につくられたものであり、また各時代における晴明像には、微妙な温度差があるのです。つまり「晴明伝承」は、各々の時代の「必要」に応じて作られたもの、といえる・・・『もののけ解題』は、現在「妖怪」や「あやかしの存在」として名を持ち、認識されているものを、一旦「もののけ」の段階まで遡り、その存在理由を鑑み、名付けられた背景としての歴史を繙いた論考の連作である。今回は日本史上最も著名な『陰陽師 安倍晴明』を取り上げた。「伝承」を精査し、時代ごとの晴明像をプロファイリング。するとその当時に求められていた晴明像が屹立し、それらを総覧することによって、日本史上における幻想の系譜を窺える……かもしれない。新しい切り口で「安倍晴明」を紐解く!NHKのラジオ高校講座「現代文」にて、5月25日、26日に著者作品を題材に使用していただきました。■目次●一之巻 陰陽道とは?・異常誕生と異能者・陰陽説と陰陽道・律令の中の「方技」・陰陽寮の成立・かぐや姫を名付けた術師・陰陽師の変遷・藤原道長と晴明●二之巻 陰陽師とは?・賀茂氏と安倍氏・陰陽師に求められたもの・「カモ」氏の素性・「アベ」氏の素性・アベ氏の中の晴明●三之巻 安倍晴明とは?・「言葉の壁」を超えた晴明・時空を超えた力・晴明の「虚」と「実」・「晴明」と「セイメイ」と「清明」・文芸の中の「セイメイ」・プロファイリングから浮かぶ「安倍晴明」■著者 高山宗東1971年群馬県生まれ。近世史研究家、著述家、ワインコラムニスト。東京大学先端科学技術研究センター協力研究員、大阪市立ワインミュージアム顧問などを務める。國學院大學文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程前期修了。専門は、近世における戦国大名家関係者の事跡研究歴史考証、文芸評論、美術解説、葡萄酒解説、イラストなどを雑誌中心に寄稿。併せて歴史、日本国語学(言語変遷史)などの講演も行う。