人にとっての“おいしさ”は、野生にとっての不幸なのか歴史、神話、地理学……深い学識を備えた環境人類学者が、世界各地で食用にされている野生動物をめぐる旅に出た。アフリカの密林に横行する野生肉の違法取引を追い、世界的に有名なレストラン「NOMA」で蟻を食べ、愛する人とスウェーデンの森でヘラジカを屠る——。文明の恩恵に浴しながら天然の獣肉を過剰に追い求めた結果、私たちが得たもの、失ったものとは……。グルメの行き着く先を体当たりで探求する、思索に満ちた冒険ノンフィクション。——「美食」の先にあるものとは何か?《本書に登場する野生の食材や料理》▶ ヘラジカ肉バーガー▶ NOMAのフルコース▶ 墓地で採るニンニク▶ 猪▶ ロブスター▶ 牡蠣▶ ハチミツ▶ アオウミガメのスープ▶ 羚羊(カモシカ)▶ センザンコウ▶ オオトカゲ▶ ナイルワニ▶ バイソン▶ バッファロー▶ 山羊▶ ヤマアラシ▶ 毛虫のソテー▶ 駝鳥▶ エルク▶ アンズタケ▶ アナツバメの巣のスープ……他多数。【目次】■ プロローグ 傷心のヘラジカ第1部 記憶と忘却 1 香草(ハーブ)と蟻………デンマーク 2 大型動物の肉、キノコと天然ハチミツ添え………ポーランド 3 魚、ひれ、殻、はさみ………アメリカ合衆国 4 直火焼きした野鳥肉のサルミ………アメリカ合衆国第2部 欲望の対象 5 森の狩猟肉、根菜添え………コンゴ民主共和国 6 羚羊(アンテロープ)の肉、トマトとスパイス煮込み………コンゴ民主共和国 7 野生動物の燻製肉と偽キャビア………フランス第3部 祝宴と飢餓の季節 8 ヘラジカ肉のアンズタケ添えクリームソースがけ………スウェーデン 9 燕の巣と花………ボルネオ10 野草………ポーランド■ 謝辞■ 訳者あとがき