本書の鏡に映っているのは、過去に膨大な書物のなかに見ていたアメリカであり、そのアメリカを通してみる日本の姿だ。岩倉使節団の一員・久米邦武『米欧回覧実記』や、江藤淳『アメリカと私』を頼りに、サンフランシスコを歩き、アーリントン墓地を訪ね、大陸横断鉄道に乗る。否応なく関係を迫られる大国アメリカ。過去の日本人がどうアメリカを見、刺激を受け、自己規定をしていったのか。過去と現在を行ったり来たりしながら、アメリカを通して日本のこれからを考える歴史エッセイ。——僕らは一五〇年以上、翻弄されつづけている。【目次】Tokyo,Haneda,August 19,2019旧グランドホテル前にて開国とはなにか即ち日本士人の脳は白紙の如し一七年ぶりの再会分断社会ジョージタウン大学での講義講演会の日Pearl Harbor,December 7,1941私の保守主義観カリフォルニア・ゼファー最後のサンフランシスコあとがき