あらすじ母を亡くしたあと、両親の家の片づけが手に付かない。涙で思い出が曇る——一時避難のつもりで八ヶ岳の麓の家に暮らして2年がたった。山での四季があまりにも美しくて、離れられない。それでも暮らしに不便はつきまとう。買い物難民、ご近所付き合い、越冬。それらをひとつひとつ乗り越えながら、山の家での暮らしを作っていく。ここに一人でいると、なにからも自由な、すっかり解放された感覚と、内側へ深く入っていく自分の両方を強く感じた。——本文より母の思い出と不在をともに嚙みしめながら、ひとりで暮らす深い豊かさを綴る珠玉のエッセイ。