神田川の和泉橋付近と日本橋の大川端で、同じ手のものと見られる武士の骸が立て続けに見つかった。いずれも逆袈裟と袈裟に斬られた凄絶な死体で、うち一件を目撃した者によれば、牢人風の男が奇妙な気合いを発して武士を斬った後、懐を探っていたという。十日後、今度は小網町で三体の亡骸が発見された。そのうち先の事件と同じ傷を受けて死んでいたのは旗本の西条平兵衛といい、幕府の要職・御小納戸頭取・浅川洋之助の弟だという。連続惨殺事件の裏に隠された企みとは――。隠密同人・長月隼人の剣が冴える!大好評書き下ろし時代長篇!