月夜の深川の堀端で、賭場などを仕切る泉兵衛一味が斬殺体で発見された。その中には、大工の与助がおり、通りがかりを巻き込まれたと思われた。調べから、泉兵衛と縄張り争いをしていた般若の亀蔵一味が下手人と目されたが、亀蔵の行方は全くつかめない。その矢先、下手人を調べていた岡っ引きが斬殺され、町方への脅しとも取れる行動を犯人たちが起こす。だが、父親の与助を殺された房助は、哀しみを背負いたった一人で下手人を探そうと奔走していた――。その姿を見た隠密同心・長月隼人は下手人を挙げることを房助に誓う。大人気書き下ろし時代長篇。