あらすじ昨日までの参勤交代で席の暖まる暇もなかった品川宿の「立場茶屋おりき」にようやく日常が戻ってきた。板頭の巳之吉が、女将のおりきの元に夕餉膳の打ち合わせにやって来た。「お凌ぎに桜餅風穴子握り寿司とは気が利いていますこと」おりきは巳之吉に微笑みかけた――(「葉桜の頃」より)。他、自らの運命を受け入れて精一杯生きる人々を温かな眼差しで描く「幸せのかたち」を含めた全四篇。笑いと涙と希望に満ちた大人気シリーズ、いよいよ佳境へ。