あらすじ師走もはや十三日。極上の料理と温かな気遣いが評判の「立場茶屋おりき」でも、朝から男衆たちが旅籠の煤払いに余念がない。そこへ養護施設「あすなろ園」の雄次が心細気な顔をして通りかかった。猟師町にひとりで出かけてくるという。そこには、おりきたちの深い親心があったのだ――(「冬濤」より)。他、男と女の運命の悪戯を描いた「すみれ野」を含めた全四篇。思いやりにあふれる立場茶屋おりきを舞台に、市井に生きる人々の絆と想いを描き切る、待望の二十三弾。