あらすじ盂蘭盆会を前に立場茶屋おりきでは、亡き人の霊を迎える準備を進めていた。そんななか、臨月を迎えた芸者の幾富士に異変が……(「芙蓉の涙」より)。その他、妻の病という困難を抱えつつ、支え合う夫婦の姿が美しい「こぼれ萩」、若い女性による火付け事件の顛末と、彼女の悲しい過去が胸に迫る「色鳥」、突然起きた捨て子騒動から親子の絆を問う「夕紅葉」の全四篇を収録。十三夜、筏流し、紅葉狩り――江戸の季節の鮮やかさと美味しい料理、そして市井の人びとの切なさとしなやかな強さを温かく描く、大好評シリーズ第十二弾。