ことさら厳しい寒さが続き、人々が春の摘み菜売りの声を待ち望む如月。日本橋にある一膳飯屋「塩梅屋」の主・季蔵は、二葉町の太郎兵衛長屋に浪人が住み着き、人々に手料理を振る舞っているとの噂を耳にする。ほどなく浪人は塩梅屋を訪れ、自分を雇い入れて欲しいというのだった。その頃、汐留橋近くに繋がれた小舟で男が殺されているのが見つかった。手掛かりは、小舟に残された一束のセリ――。事件の下手人は? 謎の浪人との関係は? 北町奉行の密命を受けた季蔵は、密かに探索を始めるが……。早春鮨、烏賊三昧……心のこもった料理の数々が春の訪れを告げる、大ベストセラーシリーズ、待望の第十九弾!