九月のある夜のこと。それはそれははげしい雨と風で、草っぱらの真ん中にある赤いトタン屋根のわたしのおうちは吹っ飛んでしまいました。そこでわたしは、あくる日いっぱいかかっておうちを建て直し、気分を変えようと屋根のトタンに青いペンキを塗りました。ところが大変! おうちができあがったときになって、わたしはかわいいプーのいないことに気がついたのです。あんなに大事な子猫のプーのことを一日中忘れていたなんて…。(掲載作「まいごのぷー」より)美しさ、凛々しさの中に人間の温かさと哀しさをしっとりと描く、あすなひろしの珠玉の短編集!