あらすじ父が亡くなってもう15年が経つ。それでも母は今でも父のことを想い続けていた。優しくて明るい母に愛情を持って育ててもらえて、幸せな日々を送っているはずなのに、俺は何故かいつも胸にモヤモヤとした感情を抱えながら生きていた。その感情は母が愛おしげにこちらを見て『よく似てるわ…』と言ったことで更に膨れ上がる。母は俺ではなく、俺の中にいる父を愛していたのだと、その時気付いてしまった。俺にとって大切な人は母しかいないのに、母にとってはそうではなかったのだ…。胸の中をどす黒いものが満たしていって、いつの間にか俺は母の体をその場に縫い付けていた…。