二度と叶わない約束を胸に美凰は生きる――
劉美凰は十六の時、恋焦がれていた耀国先帝・司馬雪峰との婚礼の夜に起きた政変で断罪され、刑場に引っ立てられる。その時、彼女の中に眠っていた奇しき力が目覚め、その結果、不老不死の体になってしまった。それから十年の時が経ち、彼女は廃妃として離宮にて幽閉生活を送っていた……十六のころと変わらぬ姿で。
“聞いてもいいか。先帝があなたに何をしたのか。”
現皇帝・司馬天凱の問いに美凰は、先帝とのある約束を思い出す。その約束とは……桃花が咲く季節に、ふたりで花見をすること。彼女は刑棘奇案後もその言葉を信じ、いつか迎えにきてくれると期待をしていたが、ついに叶うことはなかった。この約束を守ってもらえなかったことがずっと美凰の心を苦しめていた。
鏡殿から垂衣巷に移動した矢先、ある妓女に出会う。美凰が彼女に護符を渡そうとしたその時、妓女の様子が急変し――