良家の娘・松山節子は、実母を失った日から運命が一変する。父の後妻の嫌がらせで音楽の道は断たれ、まるで追い出すかのように縁談をまとめられようとしていた。夢を諦めきれない節子は家を飛び出し、九条透子としてダンサーで生計を立てる。ある日、映画俳優・間庭良一郎がダンスホールに現れ、彼の誘いで透子は映画出演することに。映画界の男たちに翻弄されながら、彼女は「堕胎罪」という罪に問われて──?激動の昭和を生きた実在の女優の半生をモデルに描く表題作他、村の因習、大奥などをテーマに贈る読み応えたっぷりの作品集!!