激動の幕末を、流れる雲のようにサラリと生きる“大江戸楽天人伝”。
▼第1話/母情▼第2話/苦虫▼第3話/寒椿▼第4話/風薫る▼第5話/赤いべべ▼第6話/母山脈▼第7話/母子草▼第8話/奥の近道▼第9話/老い惚れ●主な登場人物/浮浪雲(品川宿の問屋場「夢屋」の頭。飄々とした遊び人)、おカメ(雲の妻。夫や子供たちを大きな愛で包む女性)、新之助(雲の息子。真面目な熱血少年)、お花(雲の娘。お転婆だが、なかなか賢い)●あらすじ/春がやってきた。誰しもが希望に満ち、幸せを感じるはずの春…。品川宿の往来では、春の到来を告げる節季候(せきぞろ)が笑いを届けていた。だが、同じく往来をゆく美絵の心に思い浮かぶのは、自分がまだ幼かった、雪の降る夜のこと。夫からも「醜女」と呼ばれていた母との思い出で…(第1話)。●本巻の特徴/美人画の絵師であった夫を亡くしたお涼は、同じく絵師を目指す息子を支えるが、真面目すぎる息子の絵はなかなか認められず…? 計り知れないほど深い母の愛を描いた「母山脈」など、心に響く全9編を収録。●その他の登場人物/欲次郎(「夢屋」の番頭。実務に長けたやり手)、渋沢先生(博学多才の隠居老人。新之助らの良き相談相手)、青田先生(新之助の通う塾の先生。大志を抱く好青年)