春画屋惣介 四 ―若葉の季節編―

ささやかながら穏やかな暮らしを送る惣介一家。ある日突然、小夜のもとに弟の浩二が訪ねてくる。聞けば上野の蕎麦屋で見習いとして働いているという。だが、預かった店の売り上げを盗まれてしまい、金を貸してほしいと懇願するのだった。仕方なく金を工面しようと働く小夜。一方で怪しいとにらんだ惣介は浩二の行方を追うと…。「春あらし」「歯無し女」など全5編を収録。昭和初期を舞台に、孤高の春画絵師と純真無垢な女郎の激動の人生を描く、長編時代ロマンス第四巻。これはまだ、日本が貧しかったそう遠くない頃のお話。