あらすじ仕事を断らず、日に日に憔悴していく森(もり)の過去には『人間嫌い』の原因となる暗い影があった。まだ高校生だった頃、猟奇的なミステリー小説で一躍有名になった森は、第三者からの好奇の目線に晒され心を閉ざすようになったのだ。たった一匹、優しさとあたたかさを与えてくれる愛犬の存在だけが救いだったあの時のように、いつの間にか蓮池(はすいけ)の献身的な愛情を重ねて自身を追い詰めるように…。一方森を守ろうとする蓮池(はすいけ)も編集部の思惑と心配の間で揺れ動く。安心させようと渾身の力で強く抱きしめるが――…