「なまいきざかり」ロスを吹き飛ばす破壊力です。
バンドで頂点を目指す青年の家に見た目良し成績良しの女子高生が転がり込んで色々起こるお話。
……に、あらすじ1行に入りきらないキャラクターの魅力がつまりすぎていて、部屋に一人でいないと大変なことになります。
ヒロインは自分でできることは全て全力を尽くすし、自分でできないことは諦めている。生い立ちは世界中の不幸の数パーセントを確実に担っているのに、そこを逆恨みしたり相手にたかったりもしない。境遇としてはいわゆるトーヨコにたむろしている若者と変わらないのだけれど、圧倒的に、自分で立とうとして培ってきた努力な行動力が違う。
でも、人生経験は少ないし、どれだけ頑張ったってあたたかい家族に守られるわけではないし、お金だって天から降ってこない。
少女が一人でできる最大限の努力をしても報われず、絶望に満ち溢れてもおかしくないまさにその一歩手前で、狼くん(ヒーロー。性的観念は著しく低いけれど一応未成年には手を出さない。イケメンの鑑)はちゃんとその孤独に気付き、手を差し伸べてくれる。
それはまさに、現実の読者が、実生活において、どれだけ頑張っても周りから理解されなかったり、楽しみが消えたり、明日に希望を持てない瞬間を、さらりと包み込んでいたわってくれるかのように。
作中のタマちゃんと狼に色々あればあるほど、まあいいぞもっとやれとかギィアアアアもう無理とか色々思うところはあるんですけど、そこを超えた生きる力になってくれている。
だってわたしやあなたの孤独に、このキャラクターたちは気づいてくれているから。
いやあもうたまんねえな。月一で続刊を待っています……