クイーンズセレクション『小さなお茶会 第4巻』のご紹介でも触れましたが、『黒のもんもん組』執筆当時の猫十字社氏は、苛烈なスケジュールに追われていて、その創作活動は、想像を超える集中力が求められていました。
例えば、『黒のもんもん組』の一回分の作品は、着想から絵の完成まで3日程度の余裕しかなく、猫十字社氏はもちろん、本編にも出てきますが、編集担当者も大げさでなく、「殺気」だっていました。
しかし、この状況でも猫十字社氏はさまざまな常識を超えたキャラクターを捻出しています。
今回主に登場するキリストとゴーダマはその典型です。
まさに、神も仏も、キャラクター化していきます。
ただ、面白いことに、多くのファンの皆さんが、それぞれ好きなキャラクターは何か、と問われた際、その答えは極めてマチマチである、という事実です。
猛烈なエネルギーで次々に生み出されていったキャラクターたちは、それぞれの時期の読者の皆さんに、まさにそれぞれに一期一会の出会いがあったことなのだと思います。
この巻には、猫十字社氏のデビュー作であるとともに、当時、白泉社が社を上げて設立した新人漫画賞であるアテナ大賞受賞作の「天使の一日」が掲載されています。
この作品を一読すると、異彩を放つ天才が、まさにすい星のように出現した当時の驚きを想像することができます。