女たちは、やがて狂気を子宮に宿す――。出張のついでにかつての愛人の元を訪れた男を、女は以前と変わらぬ優しい態度で迎え入れる。女は、3年前に男が去ってから、寂しさを紛らわせるために4人の子どもを産んで現在も妊娠中だと言うが、家に子どもがいる気配はなく…。(『胎動』成毛厚子)。子どもには恵まれないものの、中学の時から付き合ってきた夫との穏やかな日々に満足している妻。偶然再会した高校の同級生と近況を報告しているうちに、「未婚の母でいいから子どもがほしい。旦那を一晩貸してくれない?」と言われて…。(『ありふれた風景』東樹れい子)子どもを求める切実な思いがどこかで歪み、自分や周りを傷つけていく5作品を収録した『女の犯罪履歴書』第33弾。