二人だけの救いだったのかな
読み終わりました。心が結構持ってかれた。
結末はとてもリアルだった。ご都合…なんてことはなくて、山田さんが逮捕されたのはとてもリアルだった。
しおりちゃんは山田さんに保護されたことで心身ともに救われたのに、法も人も、真相には興味がなく、事象だけで山田さんを裁いてしまった。作中、未成年淫行しても親のコネで逮捕免れた男と、山田さんの対比が、不条理な現実社会の事実を描いてるようでなかなかキツかった。
でも、読了感は悪くなかった。
それは、山田さんもしおりちゃんも最後は穏やかで生きることに肯定的な印象だったからだと思う。死にたいと思っていた二人は、互いと出会うことで、お互いの存在に救われ、生きることを肯定されたんだと思った。
「君を救ったつもりが、君に救われてた」と山田さんから言われたしおりちゃんはすごく嬉しかったと思う。娘の代わりとして、施されてるだけと思ってたけど、自分も誰かに何かを与えることができた、ということはしおりちゃんをとても肯定したんじゃないかな。
結末として、山田さんもしおりちゃんも世間的に黄色い目で見られるようになったけれど、二人の関係は誠実で暖かなものだったことをお互いは知っている。だから世間が敵だらけでも、結末の二人は穏やかそうだったのかも。
もう二人は2度と会えないのかな。会って欲しい気持ちがありつつ、でも、会えなくても、一生忘れられない存在にはなったと思う。
辛い場面も多かったけど、とても良い作品でした。