[1~10話を収録した合本版です]「もうどうにでもなれだ…好き勝手やってやるぜ」小説家の夢破れた岩黒鉄男は自暴自棄になっていた。帰った故郷の村は狭く、実家の理髪店にいるだけで様々な人の話が流れ込んでくる。例えば、同級生のよし子が嫁いだ先の義父から卑猥な嫌がらせを受けている事も…。帰郷のあいさつと言ってよし子の元を訪れた鉄男は、学生時代密かに想いを寄せていた彼女の腕に突然手錠をかけて衣服を脱がし始める。よし子は嫌がりながらも、夫に相手にされていない身体に染み渡る快感に次第に陶酔し――この一件を皮切りに、鬱屈した男の身勝手な欲望が、閉塞的な田舎で抑圧された女の心を乱暴にも解き放っていく事になる。