全英3日目。異端児デーリーを除き、素姓も経歴も分からない無名のゴルファーが上位を独占する展開に、世界中がどよめいていた。戦いはさらに大波瀾の予感に満ち始める。雨が止み、複雑だった風が素直な風になった途端、伸びていたスコアが止まったのだ。師弟対決となったゲンとアボット。2人は18番ティに立つ。414ヤード、パー4、風はフォロー。1オンを狙い、ゲンは渾身のドライバーショットを放った。メジャーの檜舞台で、大自然の中でゴルフを覚えた天才児ゲンの野生が目覚め、アボットを追いつめる。メジャー選手の追随をまったく許さず、野生児の天才的な技と裏社会のおどろおどろしい技とによって、全英オープンは異様な雰囲気を放っていた。テイラーとデーリーの舌戦も激しさを増す。