「先生…もっと声聞かせて」 「んんっ」 「大丈夫。ここ防音だから…」 「あ…あ…ああッ」 養護教諭として母校に戻った私・小松原朋(生徒からはともちん先生と親しまれる)。進学校のために保健室の利用者も少なく穏やかな日々を過ごしていたが、全くの偶然と運命が結び付けた優秀な生徒・菊池との出逢いで日常は一転する。ほぼ一日おきに放送室で激しく求められ結ばれる私達。甘くて切ない心の傷を癒す目がくらむような幸福感と背徳感。しかし、進学を止めて私のために就職しようと本気で向かってくる彼に対して、彼の将来を考えた私は自分の気持ちをごまかしながら別れを告げた。ところが彼は、大学進学後「教育実習生」として帰って来た。私への真っ直ぐな気持ちを持ったまま成長した意地悪な「ドS」として…。 彼の前で素直に泣けた時から、運命は決まっていたのかも知れないけれど。