生まれる前から、この世に生まれたくなかった。何度も生まれ変わり、そのたびに苦しみを味わってきた魂は、また人の子として生まれ落ちる。シャーキャ族の王子ゴータマ・シッダールタ。父は彼を王にしようと、宮殿の外の醜いものすべてを隠して育てた。だが、鳥が虫を食べる姿に怯え、貧しい者の飢えに胸を痛める王子には、その優しさそのものが苦しみだった。老い、病み、死んでいく人々。妃を愛し、子を授かってもなお、「人はなぜ苦しむのか」という問いは消えない。答えを求めて城を捨て、仙人を訪ね、六年の苦行で身を削っても、答えはなかった。すべてを手放し、菩提樹の下に座ったとき、彼はようやく気づく。悟りを開く前の、迷い続けた一人の青年の物語。
