笑顔に泣く。
何故、彼女は家から出してもらえないのか?何故怖がりの彼が「お化け屋敷」と囁かれる豪邸で家政夫をしなければならないのか?ミステリアスかつ独特の世界観で始まり一気に魅せられました。
少女漫画とカテゴライズしてしまうのは少し違う気がします、恋愛要素も少ないです。
物語のテンポと言いますか、シリアス以外の部分はどことなく少年漫画っぽささえあります。
物語に深みをもたらすには、主人公に限らず登場人物たちへの作者の愛情と、いかに心理描写を描き伝えられるかにかかっていると最近思います。
この物語はそれらに加え更に登場人物それぞれのバックボーンが丁寧に描かれていて、その台詞にその表情により一層の意味を感じる作品でした。
まさかこれが2作目とは信じられない画力、特に個人的には表情の描き方が絶品だと思っています。
何から何まで丁寧さの伝わる作品だったので私も思わずここまで真面目な感じで書きましたが!
結局のところ何が凄いって、読んでいて泣けたシーンが主人公たちが笑っているシーンてこと!!!お涙ちょーだい的に泣いてるシーンじゃないんですよ⁈
そんなんで2回も泣かされましたわ、私。
ウソ、2回どころじゃないです。笑
最終巻、これまでのことが走馬灯のように思い出されるような台詞に引っ張られ「おはよう、いばら姫」というタイトルの意味を知った時、涙無くして読めません。それを語るのが実は主人公の母親っていうね、もう本当、よく出来ちゃってやられっぱなし。
あぁ、そうだよな、人生ってそうなんだよなって考えさせられました。
そして、悩んだりつまずいたりしながらも成長していく主人公たちに「間違えてもいいんだ、失敗したっていいんだ」とありきたりな言葉になりますが生きる勇気と元気をもらえるのです。
1巻からそこかしこに敷かれた伏線の回収も、もうお見事。天晴れ。
また最初から読み返さずにはいられないし、そこでまた違った感覚で読め感動、なわけです。
こんなに主人公たちの笑顔で切なく嬉しく泣けたことはありません。
それはきっと、登場人物が不器用ながらも全員心優しい人達ばかりだったから。
人として生きていく中で「本当の笑顔でいること」、誰だって笑っていることはイイコトって解ってはいますが私達が思っている以上に時に簡単なことではなく…でも私達が思っている以上に価値のある大切なことなのかもしれません。