｢アルテ｣のレビュー・感想

16世紀初頭のイタリアを舞台に、画家を目指して奮闘する少女を描いた物語です。
貴族の家に生まれたヒロインで、そうでなくとも女性が職人になって単独で生計を立てていくなんて有り得ない、いい相手を見つけて嫁ぐのが女性の幸せという時代。
世の風潮に負けず、自らの夢に向かってまっすぐに進んでいくヒロインの姿に胸が熱くなり応援したくなります。
そして、絵が美麗なのが本作の特徴。美しく描かれたフィレンツェやヴェネツィアの風景を眺めているだけでも幸せになれる作品です。

時は16世紀、フィレンツェ。女性の自立なんて言葉がない時代、女のくせに画家なんて、と言われ、戦い続けるアルテ。
性や肩書きなどの属性で差別されたり先入観を持たれるのは現代でもよくあること。これは偏見と戦うすべての現代人に希望を与えてくれる作品です。
そして、親方のレオは女としてではなく人としてアルテを見てくれます。そんなフェアな男性こそ現代ではヒーローだと思えてきて、オトコを見る目も変わる作品です。