｢クーベルチュール｣のレビュー・感想

甘ーいチョコレートを通して人々のこころを溶かしていくようなオムニバス作品です。
イライラしていたのに、美味しいチョコを食べただけで、なんだかリラックスして、ほっとできることってありますよね。
チョコの持つ人を癒す不思議な力が詰まった一冊です。チョコを贈る人や、作る人、食べる人の優しさと思いやりが感じられます。

高価なお菓子を買うとしたら、何を求めて買いに行くでしょう。
東京の住宅街の一角で、ミステリアスなイケメン兄弟が運営するショコラティエに訪れる人々のオムニバスストーリー。大きなドラマはありませんが、誤解が解けたり、今まで伝えられなかった気持ちを伝えたりと、打算抜きに人に優しくしたいと思う人の味方として、チョコレートは仕込まれ、用意されています。
なかなか、一人ひとりが心に余裕を持てない時代だからこそ選んで欲しい作品です。

イケメンのショコラティエというだけで悶絶ものなのに、お客様に優しく、さりげない気遣いができるなんて……読んでいて心が溶かされそうになりました。
ショコラに思いをのせるのも注目ポイント。悩める乙女たちがショコラの力を借りて、どういった結末を迎えるのか、そして素敵なショコラにドキドキさせられる作品です。