極上の地獄。
元々マツモトトモさんの「KISS」は大好きでした。
そこへ大好物の「1つ下の男の子」設定(よしもとばななさんの「キッチン」や「哀しい予感」の多大なる影響でこの設定がツボなんです)、私からしたら初っぱなから二馬身以上リードした状態の好スタートといったところです。
2018年に完結していて、ここではそんなにレビューもなく読みたい登録も多くはないようですが、個人的にはかなりオススメしまくりたい作品です。
絵が好きなのは勿論のこと、マツモトトモさんが描く男性がカッコイイのもオススメポイントです。
姉弟または兄妹などキョーダイでの恋物語は山ほどありますし私も山ほど読んできましたが、本作はその辺のキョーダイモノとは一緒にしないで頂きたい、一線を画していると私は思っています。
キョーダイモノでも本当に血が繋がっているのと繋がっていないのとあるのでいずれにしてもひとまとめにはできないですし、具体的に何が違うのかと問われると大変難しいのですが、簡単に言ってしまえば世界観でしょうか。
主人公二人とも高校生なのですが、全く若々しさは皆無なもんで思わず高校生ということを忘れてしまうくらい、ストーリーも下手な大人のアラサー女が主人公とかの漫画の登場人物よりも大人っぽい雰囲気を醸し出しています。
ライバルがいても、事故にあおうとも、どれだけ時が経とうとも、そう「時間」さえも二人を離すことは出来なかったんです。どこまでも惹かれ合う二人が切なく美しく、私は力強さを感じました。
インヘルノ、地獄。
レビュータイトルをどうしようかと暫く悩んで…これにしました。
何が幸せかはみんな違う、自分が決めること。
彼らが選んだ生きる道は、地獄だろうと自分たちで決めた道。それはやはり二人にとっては「極上」なのではないか?そう思って。
終始話は明るくはなく背景が暗いトーンのシーンも多々あるのですが、ラスト、「そうやって生きてく」…「この地獄で」と書かれたページは真っ白。絵も、ない。
読者に完全にどう捉えるか託されたと私は受け取りました。少し暗いトーンで終わる選択肢もあったはず、そこをあえて真っ白で終えたのはやはり二人の意志の強さと生きる強さからくる明るさかなと思っています。